アサヒ ビール コロナ。 アサヒとキリン「自粛ダメージ」の決定的な差

アサヒ、シェア首位陥落の危機 コロナ禍の外食自粛でビール苦境:日経ビジネス電子版

アサヒ ビール コロナ

飲食店の休業が相次ぎビール需要は一段と冷え込む見通しだ(東京都中央区) 3月のビール系飲料の販売量はアサヒビールとキリンビール、サッポロビール、サントリービールがそれぞれ発表した。 宴会や飲食店の営業自粛により、瓶や樽(たる)の販売が減少した。 時間の経過とともに減少幅は大きくなっている。 19年に好調だった新商品販売の反動減が響いた。 ビールの販売量の半分を占める飲食店向けで、瓶ビールの販売が半減。 居酒屋のビールサーバーにつなぐ樽も3割減った。 外出を控える巣ごもり消費が長引き、スーパーで酒類を買い込む動きも一部で見られる。 まとめ買いの中心は第三のビールのほか、割安な缶酎ハイが中心だ。 調査会社のインテージによると、缶酎ハイなど割らずにすぐ飲めるアルコール飲料の販売量は1月6日以降の週単位で前年同週比で約1割増のペースで伸びが続く。 同社は「1本で早く酔える方が経済的だと感じる消費者も多いのではないか」と分析する。 ビール各社は利益率の高いビールの下落を食い止め、缶酎ハイの販売増で乗り切りたい考えだ。 4月もビール系飲料の販売減は続きそうだ。 「かき入れ時のゴールデンウイークに一大消費地の大都市圏で飲食店が営業短縮や休止に動くのは痛手だ」(ビール大手幹部)。 夏場に向けたビアガーデンも今年は縮小が見込まれるうえ、夏場の最需要期に「家飲み」需要が期待された東京五輪も延期された。 各社は販売戦略の練り直しを迫られているが、打つ手は限られる。 飲食店向けのビールの対面営業も自粛を余儀なくされている。 ビールメーカーは自社商品を扱う飲食店に経営支援のため資金を提供するケースも考えられるが、休業が長期化すれば経営が危ぶまれる店が増えるなかで、資金にも限界がある。 東京都が打ち出した飲食店に支給する協力金の兼ね合いなどを見極める考えだ。 ビール各社が展開する飲食店は軒並み営業を休止する。 アサヒは安全確保を最優先してほば全ての直営店の休業を決めた。 キリンも全39店の大半で営業を休止した。 傘下の「銀座ライオン」の各店舗も13日から一部店舗を除き休業する。 各社が期待を寄せるのは新型コロナで窮地に陥った飲食店に対する国税庁の救済策だ。 通常は飲食店から酒類を持ち帰ることができないが、今回6カ月の期限つきで持ち帰りで酒類を販売できるようにする免許を事業者に与える。 ビール各社としては販路を少しでも広げる頼みの綱になる可能性がある。 実際にどこまで迅速に免許の交付が進むかは不透明だ。

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新型コロナによる缶ビールの販売増の一方で逆風が吹き荒れる居酒屋の“苦境”

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キリンが上半期で首位になるのは11年ぶり 7月10日、ビール大手4社が20年上半期(1~6月期)のビール類(発泡酒、第3のビールを含む)の販売動向を発表した。 2019年通年の市場シェアで、首位のアサヒビールは36. 後を追うキリンビールが、同35. 2%と肉薄していた。 アサヒビールは「過剰なシェア争いをやめるため」(塩澤賢一社長)、20年からビール類の販売数量の開示を取りやめた。 長年継続してきた、業界動向を把握する上で重要な基礎的な統計が失われることに業界の内外から批判が噴出。 「勝ち逃げをするためではないか」との声まで上がった。 本誌は上半期の各社の推定シェアを算出した。 20年上半期の業界全体のビール類の販売数量は、流通への調査などから、前年同期比で約90%とビール大手各社は推定している。 この数字から、アサヒを除く3社の上半期の販売数量(各社の開示データから本誌算出)を引くと、アサヒの販売数量の推定値が導ける。

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コロナ禍直撃のビール業界、特にアサヒに苦境が待ち受ける真の理由 (1/3)

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新型コロナウイルスの影響で、アサヒビールが苦境に立たされている。 直接的な原因は、居酒屋をはじめとする業務用ビールの比率が高く、宴会自粛の影響を受けたことである。 業務用がダメなら家庭用を強化すればよいということになるが、話はそう単純ではない。 アサヒは日本では珍しく、明確なマーケティング戦略をもとに事業を展開してきた企業だが、コロナによってその戦略が根本的に崩れてしまった。 立て直しにはかなりの時間がかかるだろう。 一方、発泡酒などを含まない純粋な「ビール」の販売実績は、キリンが41%減、サッポロが39%減、サントリーが55%減だった。 アサヒは全体の販売数量を公表していないが、主力のスーパードライは35%減となっている。 純粋なビールの販売動向だけを見ると、アサヒだけが大幅に落ち込んでいるわけではなく、むしろ他社よりも影響が軽微にも見えるが、全体の業績という点ではそうはいかなくなる。 アサヒの売上高に占めるビールの比率は高く、しかも、ビールの販売数量のうち居酒屋など業務用の販売ルートが半分を占める。 業務用ビールの販売は、宴会自粛で居酒屋が経営不振に陥っていることから急激に減少しており、すぐにこの状況が改善するとは考えにくい。 業務用ビールの販売が落ち込んでいるのは各社共通だが、ビール比率の高いアサヒの場合、業績への影響が大きくなってしまうのだ。 家飲みを前提にした製品と業務用の製品とでは、マーケティング戦略が根本的に違っているというのがその理由である。 アサヒは日本企業としては珍しく、マーケティング主導で業績を伸ばしてきた企業だが、逆にこれが同社の足かせとなっている。 説明するまでもなく、アサヒは大ヒット商品「スーパードライ」で一気に業容を拡大したという歴史を持つ。 かつて国内のビール市場はキリンの独壇場となっており、キリンからシェアを奪い返すのは不可能と言われていた。 キリンは三菱グループということもあり、強固な営業ネットワークを持っており、営業力でキリンの牙城を突き崩すのは容易ではなかった。 だが、アサヒはスーパードライを前面に押し出し、1998年にとうとうキリンとのシェアを逆転させた。 それまでのビール市場は基本的に営業力が決め手になると考えられていたが、90年代は時代がシフトするタイミングであり、市場の構造が大きく変わり始めていた。 アサヒは、従来のビールとは一線を画した味で製品開発を行い、広告宣伝を重視。 瓶ではなく缶を中心にデザインするなど、新しい販路や顧客層を強く意識していた。 つまり、スーパードライは完全にマーケティング主導の商品であり、これが市場の変化にうまくマッチしたことから不動の人気商品となった。 その後、市場がさらに変化し、発泡酒など価格の安い商品が普及してからも、アサヒはスーパードライを基軸にしたマーケティング戦略を継続した。 高い知名度を生かして、居酒屋でスーパードライを飲む顧客がそのまま家庭での消費につながるよう、強く意識してきた。 家庭用の市場では、日本人の賃金低下から価格の安い発泡酒や新ジャンルの商品ばかりが売れるようになったが、アサヒだけは単価の高いビールを継続的に販売することに成功している。 これはスーパードライを擁するアサヒならではの戦略だったが、これが今回のコロナ危機で逆回転を始めた可能性が指摘されている。 もし居酒屋の市場が長期にわたって回復しなければ、業務用と家庭用を連携させるアサヒの戦略が根本的に崩れてしまう。 家庭用商品のブランディングをゼロから手掛けるには多くの労力とコストがかかるため、仮に今から戦略を転換しても、その成果が出てくるまでには時間がかかるだろう。 だが、アサヒにとって今回の事態が八方ふさがりなのかというとそうとは限らない。 10月には酒税法の改正が予定されており、ビールと発泡酒は1リットルあたり20円の減税に、一方、新ジャンルは28円の増税になる。 つまり今回の税率改定は、単価の高いビールに圧倒的に有利である。 これまでビール各社は顧客の購買力の低下を背景に、不本意ながら新ジャンルを拡大してきたという面がある。 もし、来年以降の主戦場が再びビールに戻ってくるのだとすると、家庭用の市場においてアサヒが有利になることも考えられる。 減税を機に家庭用ビール市場で新しい製品展開ができれば、巻き返しのチャンスは十分にある。 アサヒほどではないにせよ、各社とも居酒屋という大きなチャネルを失ったのは同じである。 今回のコロナ危機によって、ビール各社は戦略の仕切り直しを迫られることになるだろう。 加谷珪一(かや けいいち/経済評論家).

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